「春はお別れの季節です。みんな旅立っていくんです」

そう歌うナカジ(中島美春)はちょっとステキなお姉さんだった。

確か、歯科関係の学校に行くので卒業するとのことだった。

小学生だった私は彼女の卒業にちょっとシンミリしたのを覚えている。

今でもカーラジオなどでこの歌を聞くと、当時の気持ちがよみがえって切なくなるときがある。

 

古河の中学校では卒業式が行われた。

大人になると3年間という月日はあっという間に過ぎていくが、中学の3年間というのはなんと充実した期間なのだろう。

しかし、そんな3年間も今日で終わり。これまで当たり前だった日常が、明日からはそれぞれの未来に向かって歩き始める。

同じ教室で過ごした同級生との別れ。担任の先生、部活顧問の先生との別れ。

そして、皆で同じ目標を掲げてそれに向かって走って行ける日々との別れ。

それをナカジは単純な一言で、いとも簡単に時間の前後関係を解き放ち、明るい未来へと旅立ったのだ。

そう、『じゃあね』と。

 

私は今、中学三年生クラスの塾生たち7人と過ごしたこの1年間を思い返している。

受験生でもある中学三年生のクラスは自分の志望校合格のためのプロジェクトチームという顔を持つ。

ときには同じ釜の飯を食い、ときには一日の半分以上の時間を苦手克服の問題集を解くことに費やした。

彼ら7人とはどれほどの時間を共有しただろう。

週4回3時間以上の通常授業に加え、夏休みには100時間以上の講習、朝9時から夜の10時まで13時間特訓なんてのも何回もやった。さらにそこから自習をするというのだから私の想定を超えていた。

また、分厚いホットケーキを焼いて夜食で食べたり、レモン果汁の良い加減を見つけて飲んだレモンティ。夏休みに食べたカレーはとても辛かった。

個別指導が流行っているが、少人数集団にこだわるのはこの一体感がもたらす成果を、さらにはその喜びを共有したいからと言って良いだろう。

 

そして、茨城県および埼玉県の県立高校の合格発表があった。

埼玉県組は、春日部東高校2名、春日部高校1名それぞれ合格。

茨城県組は、古河一高商業科2名、古河二高普通科1名それぞれ合格。

それに加えて、小山高専建築科1名合格。

中三チーム7名全員合格

彼らはこれ以上無い、最上級の喜びを運んできてくれたのだ。

 

明日、この中三チーム最後の授業がある。

そこで彼らは私にこう言うだろう。

『じゃあね』と。

 

私は明日、シンミリしながらも、その旅立ちを見送るための有りったけの笑顔を用意して待っているつもりだ。

 

卒業おめでとう。